おおきく振りかぶって
2007年07月05日02:09おおきく振りかぶって ひぐちアサ著1〜8巻、(途中3巻抜け)アフタヌーンコミックス。
よんだよ〜。
腐女子の心をも、がっちり掴んで揺さぶっているという、このマンガ。例外なく私も揺さぶられました。
でもそんなおおっぴらに邪推できるシーンがあるわけではなく。
もちろんフツーに、大変うまい、頭をきりきり使わせてくれる上質スポーツマンガでもありまして、でも、やっぱり何でわれわれ腐女子の心もガッツリ揺さぶってくれるのか、せっかく読んだので、ちびっと考えてみました。
主人公の三橋は高一。
球を投げることが大好きで、地道な努力することで、球速は遅くとも自在なコントロールでさまざまな球種を投げられるが、中学校3年間、学校の経営者の身内ということで、チーム内でひいきと取られ、ほぼ誰とも信頼関係を築かないままマウンドに立ち続けた。一人を除いて誰も三橋の努力やコントロールのよさを認めず、性格的な卑屈さもあって部内でイジメも受けていた。
そのことを負い目を感じるまま、逃げるような形で外部受験をし、このマンガの舞台西浦校へやってきた。
イジメにあっていた暗くて卑屈な三橋の状況が、西浦校野球部ででだんだんとひっくり返っていく。
大好きな野球部のために滅私奉公でバイト代を投資する女性監督・百枝。科学的なメンタルトレーニングで無名チームを勝つチームに変えていこうとする数学教諭で部の顧問、志賀。強力なタッグ。
以後バッテリーを組むことになる阿部も、以前相方だった捕手との人間関係でトラウマを持っており、これも少々性格に問題を抱えている。 当初三橋を「ウザイ!」と断ずるが、だんだんと三橋の今まで置かれてきた環境や状況に理解を示すようになる。
捕手の投球指示のサインに「首を振る投手は大嫌いなんだ」というある種自分勝手な阿部に、嫌われたくないと必死で食らい付いていき、決して狙いをはずさない三橋。
ここにだんだん信頼関係がきずかれないわけがない。
「こんなに頑張ってるコイツに、もっと勝つ気持ちよさを味わわせたい、チームに必要な人間なんだと実感させてやりたい」
こんな阿部の思いが、次第にチーム一丸の悲願となっていく。
うおおお。この感情が腐女子の琴線に触れないわけがないよ。
親和的なチームメイトに恵まれ、もちろん球児たちは甲子園を目指す。ただ今8巻目で、県代表を選ぶ初戦を終えたところ。
ここまで読んで思ったこと。
すッげー面白かったけど、野球マンガって絶対描くの大変!!!
しかも本の帯に「『絶対に面白い高校野球マンガ』というキャッチコピーが。おいおい。かきてに全然逃げ場がないぜ? そんで8巻でやっと初戦消化だ。
対戦ごとに新しく9名のプロフィールを考えなくちゃならない。
人物の描き分けの問題。大量のモブシーン。下手すりゃ選手の母親のプロフィールや、学校の見取り図、チームメイト全員の学校から家までの帰宅路線図まで考えちゃう、徹底した設定の手の抜かなさ。
<でもこれはちゃんと考えとかないと、アシに指示する作画時にこまるのだけど。)
しかも作家さんの傾向として、作画面の使い回しなど妥協は全然してない。
野球が心底好きじゃなきゃ絶対やってられない。
非常に魅力のある絵柄だが、最近よくいるめったやたらに画力がスゴイマンガ家ではない。
むしろほとんどないところから始まった方ではないだろうか?
実際にプレイしてきた方らしく、投球ポーズなど、野球のスピリットを感じる。その点でウソがなく好感が持てるが、8巻目の今のところ人物に骨格をあまり感じない。
ふわーとした線で、キャラクターはリアルというより、マンガマンガしている。ナイーブな少年のような体格の高校球児たちだ。
主人公のいるチームは一年生だけなのだが、絵柄の特徴でか中学生に見える。
マネジの女の子のキャラクターなどはさらに、小学生に見える。
百枝の胸が、昨今の少・青年マンガの傾向か、もう見なれたけどやっぱり異様にでかい。牝牛のような巨乳である。
トレンドなんだろうけど、冷静に見るとアンバランスだよ。
かき分け、というか、実は読む方の読みわけも大変だ。
大量のキャラクターを作ってきて、かき手としても、すでにいい加減種も尽きるかとも思うが、 お恥ずかしいことに阿部と、今まで出てきた叶、高瀬、榛名、の見分けが付きにくい。
画力の問題もあるが、ややキャラクター造形の引き出しの少ない方ではないかと思う。
ユニフォームやメットのトーンの貼られ具合、プレイの状況などで、専門用語に惑わされながら必死に読みわけていく。
じっくりと連載を毎号追っているわけでなく、一気読みなので、すべての状況が頭にしみこむまで時間がかかる。
帽子をかぶられてしまうと、髪型で判断もつけられない。特に野球にくわしくもなく、野球マンガも読みなれてない私などには、毎ページ「えーと、これは誰?」になってしまう。多彩なキャラクターをかき分けなくてはならず、その点ではこの作家さんには今後もう少々画力が必要になってくることだろう。
しかし描けば描くほどうまくなるのがプロのマンガ家だから、その辺は巻数がナントカして行ってくれるのはないだろうか。
しかしバッテリーの二人の、甲子園を目指すモチベーションの切実さと、なんともいえないナイーブな絵柄の魅力は、私も感じ、280万部をたたき出した人気の高さを確かめたと思う。
次回はこの絵柄の魅力について描いてみたいです。
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